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フェレットと私 【獣医師 清野伸隆】

獣医師  清野 伸隆  2011年11月(2008年4月入社)

 

そもそも、生まれも育ちも北海道の私 「アンドレ動物病院」 に就職したのは、 愛フェレットのため でした。

 
私が 「フェレット」 と出会ったのは、 大学2年生の時でした。
家庭の事情で動物を飼うことができなかった私にとって、 動物を飼うことは 夢 でした。
大学生活や一人暮らしに 慣れた私は、その夢をかなえるべく 帯広に一つしかないペットショップに 足を運びます。  といっても 何が飼いたい というわけでも ありませんでした。

 
そこで 初めて フェレット に出会ったのでした。
「 何だ こいつらはっ?! 」 と その愛くるしい外見に惹かれ、 店員さんにお願いし触らせてもらうことに・・
ものの 数秒で 私の手は 血まみれに なりました。(笑)
10か月齢の ニュージーっ子でしたが、 環境が良くなかったのでしょうか?・・・

 
それでも、フェレットという動物に すごく惹かれた私は、その足で(その手で?) 本屋さんに駆け込み
フェレットの本を購入、熟読し、 数日間 思い悩んだ末、 お迎えを決意しました。

 
私が フェレットを飼う決意をした理由は、 主に以下のものです。
1. 鳴かない             ・・・・・・近所迷惑 厳禁
2. 散歩がいらない         ・・・・・・北海道の冬の散歩はつらい
3. 部屋を傷めない         ・・・・・・アパートだから
4. 維持費があまり かからない ・・・・・・自分のバイト代で飼えなきゃダメ!!

 
フェレ飼い以外の人が気にする体臭について、 私は最初から全然気になりませんでした。
また、 咬み癖 については、 「治らなくても いいや」 くらいに思っていました。

 
そして、ついに お迎え。
そのペットショップにいた3匹のうち、1匹だけ白かったフェレットをお迎えして 「雪姫」(ミスティック)と
名付けました。
初めの2か月くらいは 咬み癖があったものの、その後 温和な性格になりました。

 
その後、2匹目の フェレット「総次郎」(マーシャル) お迎え
翌年 3匹目「紅蓮」(ルビーファー)、4匹目「茘枝」(パスバレー)をお迎え。
みんな仲良し、大家族になりました(笑)。
私より フェレットたちの方が高価なフードを食べていたので、私のバイト代は 主にこの子たちに消えて行きました。(笑)
それでも、この子たちのおかげで大学生活をより楽しく過ごせました。

 
数年後、残念ながら ついに悲しい時を迎えます。
大学5年生の冬 2月8日  朝起きたら 「紅蓮」が 一階の床に倒れていました。
「 また床で寝て・・」 と抱き上げると その体は冷たくなっていました。
あまりの突然の出来事で よくわからず「昨日まで普通に生活して、 ご飯もたべていたのに・・・・・?」
と 茫然自失・・・
「 なにか おかしなところはなかったのか??  異変を見落としていたんじゃないか?? 」
と 自分の不注意を 悔みました。

 
フェレットを 飼い始めた時から思っていた 「 フェレットも診れる獣医師 」への 思いは 
紅蓮 のことで より 強いものとなりました。
(獣医大学で教えられるのは犬・猫・馬・牛・鶏が主でフェレットを含むエキゾチックアニマルは習いません)

 
そして 大学を卒業
大学OBの先生の伝手で フェレットをたくさん診ており、学会や雑誌にもたくさん投稿している戸崎先生が院長の アンドレ動物病院を 紹介していただきました。

 
私にとって、北海道を離れることより、フェレットを診れるようになることの方が はるかに重要でした。
アンドレ動物病院で3日間実習させていただき、その雰囲気や診療内容、 院長・副院長の思想に深く感銘を受け、数日後には就職願の電話をし、 希望どうり就職することができました。

 
就職して 1年目は本当に勉強することが多くて多くて、あっという間に時間が過ぎて行きました。
自分に仕事があることが 楽しくて  独り暮らしの私にとって独りで家にいるより アンドレにいた方がずっと楽しかったです。
また、年度末には 「エキゾチックペット研究会」 という学会で 症例発表もさせていただき 良い経験になりました。(以降3年連続発表させていただきました)

 
2年目に入っても勉強することは山ほどあります。 ですが、1年間一通り経験できたことで 1年目より多くの「仕事」ができるようになりました。  病気についても理解が深まり  院長・副院長の指導のもと 重病で入院しなくてはならない患者さんの治療計画も立てることができるようになりました。

 
3年目は より「仕事」ができるようになりましたが、同時に自分に足りないものを多く感じる年でした。
自分に足りないものを見つける上で、同期入社の荒川先生の存在は大きかったと思います。
院長・副院長を見習うことは もちろんですが、 同期の荒川先生と自分を比較することで自分に足りないものを より明確に感じることができ、 向上できたと思います。
「 飼い主さんにとって わかりやすい説明 」 は今でも大きな課題です。

 
今年4年目となり、1年目に感じていたような楽しさは あまり感じられなくなりました。
しかし、「治してあげたい」 「 動物と飼い主さんに よりよい医療を提供したい 」 という責任感を より強く感じるようになりました。   そう思えば思うほど、 まだまだ自分に足りないものが 次から次へと見つかりますが、 一つ一つ クリアしていきたいと思っています。

 
私が 栃木に来た時に 一緒に来た 「雪姫」「総次郎」「茘枝」は 残念ながら今は いません。
でも 私が アンドレにきてフェレットについて詳しく勉強でき、 いろいろな経験を積ませていただいたおかげで、この子たちと 一緒に過ごす時間を 増やせたと思います。

 
栃木に来てから、「京介」(カナディアン)、「茶釜」(カナディアン)を お迎え。(京介は今はいません)
昨年 「灯吉郎」(パスバレー)、「柘榴」(マーシャル)を お迎え。
現在、 フェレット3匹と フクロモモンガ4匹と 同居中で今でも大家族です(笑)。

 
実は このコラムを書く決意をしたのは 2012年1月に アンドレ動物病院を退職することになったためです。
院長の友人である先生が院長の愛知県の動物病院に移籍することになりました。

 
今まで ご指導いただいた 戸崎和成 院長、戸崎啓子 副院長、 樋口(倉本)先生、荒川先生、松井先生、過足さん、山道さん、根本さん、安納さん ありがとうございました。

 
また、 私の頼りない診察に正面から向き合っていただいた飼い主の皆さま、本当にありがとうございました。
時に叱られ、時に励まされ、時に感謝され、動物だけでなく 飼い主さんからも 多くのことを学ばせていただきました。

 
フェレットを含め多くの動物は、私たちより寿命が短く別れが必ず来てしまいますが、飼い主さんと動物が少しでも一緒に過ごせる時間が増えるよう、私にできることを続けていきたいと思います。

 
あと、さほど日日はありませんが、 よろしくお願いいたします。

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